持てるだけでいいや

夏休みの宿題はいつも最後までやらないで

かといって直前で焦ることもなく

黒板の隅に未提出って丸で囲まれて

自分の名前がいつまでも残ってて

10月になる頃には

かすれて消えかけた名前を見ながら

なんで秋休みはないんだろう

あったらあったで宿題やだな

とか考えたことがあったのを思い出した。

 

今日は引っ越しの日。

 

この歳になっても

時間に急かされることもなく

人生における計画性もないままぬるっと過ごしてしまっている

しっかりしたいなとも思ったけど

なかなかこの性分についても悪くないなと思っているところもある

 

やりたいことはたくさんあって

時間を惜しんで打ち込むこともあるけれど

 

ゆっくりと流れる時間を楽しむ方法もきっとまた20と何年間で見つけたのだと思う。

 

退去の期日が迫っていて

例の通りここまで何もしていなかったから

手付かずの荷物にとりかかることにした

 

実際に手をつけると

あっけなく全ての荷物がまとまってしまって

思い立った30分後には

両手にいっぱいの荷物を抱えて

駅に向かう道を歩いていた

 

荷物はきっと人より少ない方だけれど

両手いっぱいとなると重たかった。

 

道はまっすぐでアスファルトは昨日の雨で湿っていた。

西日が眩しくて目を細めると遠くの踏切をあずき色の電車が横切る。

退去の日にうってつけな天気な気がした。

カメラもっておけばよかったなとかそんなことを考えていた。

 

物持ちがいいのか

一人暮らしをしていた頃のモノもいくつか残っていた。

 

みんなで朝方までゲームして

このクッションで寝たなとか

ワールドカップ楽しかったなとか

これあいつが落として欠けたやつだとか

 

モノが僕より色んなことを覚えてくれている。

 

両手いっぱいに荷物を抱えて

なんでこんなことしてんのかなって思いながら

 

色々あったけどなんか幸せだなぁって

思えたので今日もはなまる。

 

こんな日は

Apple Musicの全曲シャッフルに期待してみてもいいかなって思ったりもする。